「パレスチナ研究班」は、パレスチナに関する理解を深めるとともに、今後の研究方針を検討するために、2006年12月12日に第2回研究会を開催した。
 報告1
 報告者:浜中新吾氏(山形大学助教授)
 「比較政治学におけるパレスチナ研究
  −交渉ゲーム理論を中心に−」
 浜中氏は、比較政治学から如何に地域政治にアプローチできるかという課題を解説し、比較政治学の関心トピックスを説明した上、発表者は交渉のゲーム理論に基づいてつくられたモデルを現在のパレスチナにとって最重要課題の一つである連立政権に適用し、そのシミュレーションを検討した。報告に対しては、比較政治学の手法と地域研究の濃い記述との連携の可能性など活発な議論が行われた。

 報告2
 報告者:臼杵陽氏(日本女子大学教授)
 「パレスチナ研究の現状とその課題」
 臼杵氏は、今後のパレスチナ研究班の研究活動の議論のために、パレスチナ研究を取り巻く困難と取り組む課題について問題提起を行った。パレスチナ研究は制度的や財政的制約という状況のもとで組織化されることがなく、中心となる拠点を欠いている。特にベイルートにあった旧PLO研究センターは解体されてから、パレスチナの中心なき研究の現状は一段と深刻になった。そのためパレスチナに関する研究を勢力的行っている大学・研究機関でさえも資料制約などさまざまな限界に直面している。そこで「パレスチナ班」として、パレスチナの失われた過去の再構成に貢献するために、ワクフや法廷文書のような資料の収集に積極的に取り組み、これらの資料を世界中の研究者が閲覧できるようにネットに公開するという提案があり、活発な議論が行われた。
 
5回目: 「パレスチナ研究班」第2回研究会
日時: 2006年12月12日(火) 16:00〜18:00
場所: 東京大学東洋文化研究所会議室
講演者・講演題目:  浜中新吾(山形大学助教授)
          「比較政治学におけるパレスチナ研究ー交渉ゲーム理論を中心にー」
          臼杵陽(日本女子大学教授)
          「パレスチナ研究の現状とその課題」